がんの現状

がんは、世界の死亡原因の3位、日本は1位

日本の医療制度・設備は、世界最高水準であり、平均寿命も長くなっている。 がんが高齢者になるほど発生率が高いため、平均寿命の長くなった日本では、がんへの罹患率が高まり、全死亡原因に占めるがんの割合が高くなっているのである。
また医療設備の高度化によって、がん患者の発見が増加されているとも言える。
医療制度および医療設備が、現在の日本ほどの水準に達していない国や地域では、がんに罹患していても発見されないケースも少なくない。 これらの理由により、世界では3位の罹患率が日本では1位となっていることが考えられる。 そして、全死亡者に占めるがんによる死亡者の割合は、昭和22年から増え続け、平成6年からは激増している。

 

日本人のがんの死亡者数を、男女別に部位別にまとめた資料を、国立がん研究センターのがん対策情報センターが発表している。
「部位別がん死亡数の推移」をみると、 日本人の男性は、1975以降現在まで、部位別がん死亡数は、だいたい肺がん、胃がん、肝がん、大腸がん(直腸がん+結腸がん)、膵臓(すいぞう)がん、胆嚢(たんのう)・胆管がんの順になっている。
日本人の女性は、大腸がん(直腸がん+結腸がん)、子宮がん+乳がん、肺がん、胃がん、肝がん、膵臓(すいぞう)がん、胆嚢(たんのう)・胆管がんという順位になっている。



医療制度が整い、医学・医療ともに向上が著しいといわれているにもかかわらず、がんによる死亡者が増え続けているのは、なぜなのか。
それは「がん死亡数」だけを見ているためである。人口も増え、平均寿命が長くなっているのだから、「がん死亡数」が増えるのは当然である。

調査集団の人口を死亡数で割り、各年齢階層の死亡率を計算し、調整し、年齢構成の異なる集団が、年齢構成の相違を気にすることなく、年齢比較や年次比較ができるよう配慮されている「部位別がん年齢調整死亡率の推移」をみると、「男女計」では、950~2009年にかけて、日本人の男女は、がんによる死亡率は増加しているが、年齢調整をするとがんによる死亡率は減少している。

部位別罹患率

男性:
1胃がん(20%) 2肺がん15%) 3前立腺がん(11%) 4結腸がん(九%) 5肝臓がん(7%)
「結腸+直腸」を大腸のなかに入れると、大腸がんは16%となり2位に

女性:
1乳腺がん(15%)2胃がん(13%)3結腸(11%) 4肺がん(9%)5子宮がん(9%)
「結腸+直腸」を大腸のなかに入れると、大腸がんは16%となり2位に


部位別死亡率

男性:
1肺がん(24%) 2胃がん(16%) 3肝臓がん(10.5%) 4結腸がん(7%) 5膵臓(すいぞう)がん(7%)
「結腸+直腸」を大腸のなかに入れると、大腸がんは11%となり3位に

女性:
1肺がん(13%)2胃がん(16%)3結腸(10%)  4膵臓がん(9%)5乳腺(8.7%)
「結腸+直腸」を大腸のなかに入れると、大腸がんは14%となり1位に がんの罹患率、死亡率について、さまざまな角度から見てきたわけだが、コントロール できていると言えるのは、強いていえば男女の胃がんと女性の子宮がんだけであり、それ 以外のがんは十分にコントロールできているとは言えない。