がんの遺伝子検査とは、正常細胞の「がん化」に関与する遺伝子の変異を調べることにより、画像診断では発見不可能な微細な「がん細胞」の分子レベルでの検出や、目に見えない「がん発生リスク」の評価を目指している。すなわち、がんの超早期発見とがんの発生予防に積極的に取り組めるのである。
これは、「がん予防」とともに、「がん再発防止」にとっても新たな指標を提供し得る。
放射線による画像診断、内視鏡検査等では確認できない微細ながん細胞(五㎜以下)でも、がん細胞から血液中に遊離されるDNA量、がん抑制遺伝子の変異、がん発現遺伝子の発生を解析することにより、分子、細胞レベルの「微細ながん」が検出される可能性がある。
そのことに着目した「がん遺伝子ドック」は、前がん状態での超早期診断による早期発見、早期治療、治癒率向上を目指すものである。
がん遺伝子ドックはまだ完成されたものではなく、診断精度や診断の特異性など今後更なる発展が求められるが、現時点でも、各種画像検査で捉えられない超早期の発がんの変化を同定できる可能性があり、今後、がんの予防や、がん再発リスク管理において極めて重要な検査手法・指針の一つになると考えられる。
概要: |
血液検査で遺伝子の変化を確認し、画像検査で捉えられない超早期の段階でガン化の有無を確認する検査 |
対象: | 積極的にガン発生の予防をしたい方 ガンの治療後の再発を制御したい方 ガンをできるだけ早期に発見したい方 |
方法: | 血液検査(採血量35ml) |
所要時間: | 診察30分~ 採血5分 計45分くらい |
費用: | 147,000~26,2500円(調べる遺伝子の個数、内容で異なる) (参考価格:北青山Dクリニック) |
遺伝子検査により画像検査では確認できないレベルでガン化を捉えたり、
前ガン状態かどうかを確認できる可能性があります。
【背景】
ガンの検診技術が上がり早期発見・早期診断が可能となってきましたが、未だに対処できないレベルとなってから(進行ガンのステージで)ようやく発見されるケースがある。負担の少なくて、かつ、できるだけ早くガンを同定できる検査、ガン発生の予防に取り組める検査はないものか、その思いに答える検査法としてガン遺伝子検査が生まれた。
【前提】
ガン細胞は正常細胞が変異することにより発生する。 ガンの発生には「ガン遺伝子(ガン発現遺伝子)」と「ガン抑制遺伝子」二つのタイプの遺伝子が関与する。それぞれに何種類もの遺伝子がある。 ガン遺伝子は正常細胞がガン細胞化するのを進めるアクセルの役割をし、 ガン抑制遺伝子は正常細胞がガン細胞化するのを抑えるブレーキの役割をする。 ガン細胞が進展すると血液中の遊離DNA(free DNA)が増加することもわかっている。
【方法】
血液検査により、血中のフリーDNA濃度、ガン抑制遺伝子の変異、ガン発現遺伝子の発生量を測定。
【科学的論拠】
1000名前後の、健常な方、ガン患者さんをサンプルとして、血中のフリーDNA濃度、ガン抑制遺伝子の変異、ガン遺伝子の発生量・発生パターンを検査し、統計学的に、担ガン状態である確率を算出し、ガン細胞が存在する確率を提示。
【遺伝子検査の限界】
各種画像検査で確認出来る前にガンの発生を検出したとして、どの部位に発生するガンなのかはまだ同定できない。 ガン診断に関わる他の検査と同様に疑陽性や疑陰性がゼロではない。すなわち絶対的な検査ではない。
【遺伝子検査の有用性】
血液で検査が行えるので検査の負担が非常に小さい。 ガンが体内にあることを極めて早期に確認できる可能性がある。 たとえガン細胞がまだ発生していなくても、ガン化の環境が体内に整っているか(ガン抑制遺伝子の変異+ガン発現遺伝子の増加)を確認できる。すなわちガン細胞が発生しやすい状態かどうかがわかる。
【遺伝子検査結果を受けて】
目に見えないレベルでガン細胞化が生じていることが疑われた場合や、ガンになりやすい遺伝子パターンになっていることがわかった場合に、ガン発生を抑止するライフスタイルの提案、高濃度ビタミンC療法、キレーション療法、サプリメンテーションなどの代替医療を勧めることになる。
【遺伝子検査への期待】
更なる知見が蓄積し、正確なガンの発生予測、ガンの発生部位の同定ができるようになること、それにより確実なガンの予防が行えるいうになることが期待できる。 また、検査技術が進化してローコストで検査が行えるようになることも期待される。
【最大のメリット】
正常細胞がガン化する際に生じる、「ガン抑制遺伝子」の突然変異や「ガン遺伝子」の発現をとらえることで、ガン細胞が発生する前に、ガンになりやすい状態になっているか否かを確認できる。
ガン細胞が発生する前に、ガンになりやすい状態になっていることがわかれば、生活習慣の改善や、予防的治療を積極的に行うことにより、 ガンになりやすい状態から、もとの正常かつ問題のない状態へ戻すことができる可能性がある。 | ||
ガンの発生をブロックできる可能性がある。 |
【副次的メリット】
画像検査では捉えられないレベルでガン細胞を発見できる可能性がある。
ガンの超早期発見が可能となり極めて早期に治療を開始できる。 | ||
ガンが発生しても根治できる可能性が大きくなる。 |
【デメリット】
ガン抑制遺伝子の突然変異やガン遺伝子が相当に確認されたりすると、まだガンは発症していないのに、いたずらに不安にさいなまれる可能性がある。
また、遺伝子検査で全く問題がないと言われた場合に、今後一切の検査は不要であると誤解してしまうと、ガン発見に有効な既存の検査を受ける機会を失ってしまうことにつながる。
【遺伝子検査の活用法】
本検査は、ガン発症の予防・早期発見の点で、極めて有望な医療技術といえるが、検査を受ける側がその内容や意味をしっかり理解し納得した上で検査が実施されないと、検査結果によってはいたずらに不安に陥ってしまったり、逆に、検査結果に過度の期待をもってしまうことになりかねない。
本検査を実施する上で十分なカウンセリングの実施が重要となる。 |