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代表的癌(がん)治療~最新癌治療

癌標準治療

①手術②放射線治療③化学療法④ホルモン療法

上記標準治療に加え新たな治療として免疫療法が最近注目されている。 他に最新治療も含めて薬剤による癌治療としてまとめた。

薬剤による癌治療

1. 化学療法
2. 免疫療法
3. 遺伝子治療
4. RNAi 療法

化学療法

  • 抗癌剤による治療が主。
  • 癌細胞の速い分裂能に注目して攻撃する標的を決める。
  • 正常細胞でも細胞周期が速いものは攻撃を受ける(骨髄、消化管上皮、毛包)。
  • よって骨髄抑制、消化管障害、脱毛などは必発の合併症。

(分子標的療法)

  • 一般的な抗癌剤が細胞分裂の早い細胞をほぼ無差別に攻撃するために副作用が甚大で効果が不十分なことを受けて開発が進んだ。
  • 癌に特有ないしは過剰に発現している特定の分子を狙い撃ちにする。
  • 従来の多くの薬剤も作用機序を探ると何らかの標的分子を持つが、創薬や治療法設計の段階から分子レベルの標的を定めている点が本療法の特徴。
    グリベック(慢性骨髄性白血病) イレッサ(非小細胞肺癌)タルセバ(非小細胞肺癌)
    アービタックス(大腸癌 頭頸部癌) ハーセプチン(乳癌)など多数開発されている。
  • 当初は治療効果が大きく副作用が少ないことが期待されたが、効果は確実とは言えず、一概に毒性が少なくはないこともわかってきた。

免疫療法

  • ヒトが本来持っている体内に存在する異物を除去する力(免疫力)を利用する療法。
  • 免疫には不特定多数の異物を攻撃する自然免疫系と特定の異物を攻撃する獲得免疫系の 二つがある。
  • 免疫療法は、上記の自然免疫力を高めるもの(非特異的免疫療法)獲得免疫力を高めるもの(特異的免疫療法) に大別できる。
  • 免疫療法は副作用がない有効な治療として期待されているが、癌は、免疫系を利用して成長する能力形を変えて免疫系から巧みに逃れる能力を持つため残念ながら治療成績は未だ満足の得られるものではない。
    ただし、自然免疫力を高める非特異的免疫療法から獲得免疫力を増強させる特異的免疫療法へ免疫療法は変遷しながら進化を続けており今後治療成績の改善が期待されている。
第一世代(1960年代~):免疫療法剤
BCG 丸山ワクチン ハスミワクチンなど
第二世代(1980年代):サイトカイン療法
インターフェロンγ インターロイキン2 など
第三世代(1980年代):活性化リンパ球療法
LAK細胞療法 NK細胞療法 など
第四世代(1990年代):樹状細胞療法
※第一~三世代は非特異的免疫療法 第四世代から特異的免疫療法
ただし活性化リンパ球療法は、癌患者本人の血液を使用するので、獲得免疫系を賦活化する可能性もある。

遺伝子治療

  • 癌の増殖を抑えるために有効と考えられる遺伝子を、血管や腹腔内、臓器、腫瘍に摂取し臨床効果を得ようとする療法。
  • 遺伝子の効果が発現されるのは細胞の核内なので、投与する遺伝子を癌細胞の核内まで送達しなければいけない。
  • 遺伝子の運び屋(ベクターとよぶ)としてウイルスやプラスミドが用いられる。
  • 治療に用いられる遺伝子として P53  エンドスタチン TGB‐β2 TNF-α などがある。
  • ベクターとしては アデノウイルスヘルペスウイルスなどがある。
  • 癌細胞に対するベクターの侵入力の問題や倫理的な側面など課題は多いが、最新療法としての期待は大きい。

RNAi 療法

  • 癌の性質を維持しているタンパクをRNAi(RNA干渉)という最新の技術で消去し、 癌細胞の分裂を止めたり自殺(アポトーシス)を誘導する療法。
  • CDC6shRNA療法はまさにこのRNAi療法。 この概念がまだ浸透していないので現在は遺伝子治療として表現している。
  • RNAiの際に有効に働くのは非常に小さなRNA(mRNA:マイクロRNA)
  • RNAiが行われるのは細胞核内なので、遺伝子治療と共通して運び屋(ベクター)が必要。
  • 実際は、ベクターが運んでいるのはmRNAそのものではなく細胞核内でmRNAを作ることのできるshRNA(ショートヘアピンRNA)。 直接mRNAを運ぶと重篤な副作用が発生するよう。
  • CDC6shRNA療法で用いているベクターは、現存の最強のものと考えられているレンテウイルス(HIVリコンビナント)。
  • 癌細胞においてのみ効果が発現するように、 hTERTプロモーターという特殊な遺伝子関連物質も合わせて送達している。
  • すなわち、CDC6shRNA療法で用いる製剤は、 レンテウイルスに、CDC6shRNA+hTERTプロモーターを搭載したものである。
  • CDC6タンパクは、癌に特異的に大量に発現し、それによって、 癌固有の無限増殖能や自殺回避能がつくられていると考えられている。
    →CDC6タンパクの除去は癌細胞の悪い特性を消し去ることに繋がるので、 癌細胞を正常細胞に戻せる可能性があると表現している。

★高濃度ビタミンC療法

  • 2005年米国の国家機関NIH(国立衛生研究所)の研究者らが超高濃度ビタミンCが 癌治療に有効であるという論文を発表してから普及しだした。
  • 血中のビタミンC濃度がある程度以上になると毛細血管からしみ出した時に酸化されて過酸化水素が発生し癌細胞が壊死する。
  • 血中では過酸化水素が発生しない。また、正常細胞は過酸化水素を分解する酵素を十分持っているのでそれによりダメージを受けない。
  • すなわち、「高濃度ビタミンCを静注すると、血液中を安全に運ばれ、毛細管をしみだした時に酸化されて過酸化水素を発生し、それが癌細胞を殺す。そして過酸化水素は正常細胞には無害である。高濃度ビタミンCは過酸化水素を安全に組織まで運ぶプロドラックとして働き、選択的に癌細胞を殺す。」と要約できる。
  • ビタミンCの血中濃度が400㎎/dl 以上だと有効。
  • G6PD欠損症では、血中ビタミンC濃度が高くなると溶血性貧血を起こすリスクがある。